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土木工事のICT施工導入は資格が必要?ICT施工について解説
2023年02月22日
人口減少に伴い労働者不足に悩む業界が増えており、建設業界も人員不足が続いています。
国土交通省は生産性と安全性を向上する取り組みとして「i-Construction」を立ち上げました。
ICT施工はi-Constructionの3つの施策のうちの一つです。
本記事ではICT施工とは何なのか、導入するにあたって資格は必要なのかを解説します。
ICT施工について興味を持たれた方はぜひご覧ください。
土木工事で活用するICT施工について解説|資格は必要?
ICT施工とは?「ICT施工」はICT=Information and Communication Technology(情報通信技術)の略語と、土木施工を組み合わせた用語です。
建設現場のさまざまな工程において、ICT(情報通信技術)の活用推進により、安全性と生産性が向上すると考えられています。
ICTの活用を進められる部分としては、測量や設計、施工や施工管理から納品までの対応が可能です。
導入そのものに資格は不要
ICT施工は、ICTと呼ばれる情報通信技術を活用した施工なので、資格が必要だと考える方もいます。
しかし、現時点ではICT施工の技術に関する資格は不要です。
しかし、ICTを活用するためには、ドローンや3DCADなどの技術を習得した方がよい傾向にあります。
必要に応じ、資格を取得しましょう。
講習を受け資格を取るのがベスト
ICT施工について取得しなければならない資格はありませんが、ICTに関する知識は必要です。
国や地方自治体、民間事業者が開催するICT施工についての講習を受講してください。
国や自治体・民間企業で実施している講習の多くは、「一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会(以下技士会)」の継続学習制度(以下CPDS、Continuing Professional Development Systemの略)として認定されています。
認定を受けられる方は事前に技師会に確認し、CPDSを取得して技士会に申請して受講証明書を取得しましょう。
土木工事ICTに使える養成講座|資格がわりに取得しよう
土木工事ICTに使えるICTに関連する講座を2つ紹介します。
どちらも国土交通省が推進している、i-Constructionの基礎知識から習得できる養成講座です。
一つずつ見ていきましょう。
建設ICTマスター養成講座
建設ICTマスター養成講座は、異業種からの転職も視野にいれた、教育訓練プログラムです。
ICT施工について導入編と基礎養成編、応用編の3つに分けてICT施工について知識を習得するのが一般的です。
導入編から応用編まで、それぞれで学習する内容は異なります。
導入編 | VRの変遷や、VRで学ぶ土木の基本 |
基礎養成編 | ・i-Constructionに必要な知識と技術
・CG、VR、プログラミングなど |
応用編 | ・個別演習
・VRを活用したまちづくり ・AICloud活用実習 |
養成講座を受講すると、施工の計画から設計・施工や維持管理まで一連のプロジェクトを監督できるスキルが身につきます。
i-Constructionスペシャリスト養成講座
i-Constructionスペシャリスト養成講座は、ストラテジクスマネジメント株式会社が運営している建設ICT.comで提供されている講座です。
i-Constructionのスペシャリストを養成します。
オンライン動画で閲覧可能で、1講座ずつ購入して勉強できるのがメリットです。
講座の内容ですが、基礎編は土木や建設の基礎知識、i-Constructionの基礎を学びます。
中級編になると、ICTを活用した3次元測量や設計データについて学習可能です。
資格なしでできる?土木工事のICT施工内容の詳細を紹介
土木工事でICT施工を採り入れる施工にはどのようなものがあるでしょうか。
土木工事でICT施工を活用する工事の内容を紹介します。
一つずつ見ていきましょう。
測量|トータルステーションの活用
土木工事で最初に行うのは測量です。
従来の測量の場合、作業員が丁張りを設置、別の作業員が排土板を操作して目視で確認していました。
作業員は2人以上必要でした。
ICT施工を活用すると、測量する際はトータルステーション(高度測位システム)を利用します。
ほかにはドローンや地上レーザスキャナなどを活用する場合もあります。
3DCADで設計データを作成
測量を終えたあとの設計もICT施工は、3次元設計ソフトウェア(3DCAD)を活用に必要です。
図面が2次元だったとしても、図面のデータから3次元の設計データを作成できます。
建設機械で施工・施工管理をする
3次元データで作成した設計データは、ICT搭載したICT建設機械を使用して施工していきます。
ICT建設機械は、半自動で施工できるマシンコントロール式と、モニターの情報をもとに人が操作するマシンガイダンス式の2種類です。
3Dで作成された設計データは、施工や施工管理でも利用できます。
施工や管理で使った3次元データを納品
測量から設計および施工や施工管理で使用した3次元のデータは、そのまま施工や施工管理でも利用可能です。
最終的には、3次元データを納品して工程を終了します。
従来は、測量をはじめ検査書類が膨大で手続きが大変でした。
しかしICT施工が導入された今日では、3次元機器などICTを活用した検査が可能です。
検査の日数や、必要な箇所を効果的に削減できます。
資格のある施工!土木工事でICT施工を導入するメリット・デメリット
ICT施工を導入するメリット・デメリットを、ここでは表で解説します。
ICT施工を導入するメリット | ・施工の効率が向上する
(基準点チェックなど施行前のテスト時間が削減) ・安全性が高まる (重機と作業員が交差しないため事故発生率が減少) ・施工精度の向上(仕上げ面の精度が向上する) ・施工前のテスト時間が軽減するため燃料費も安くなる |
ICT施工を導入するデメリット | ・導入費用が高額
・ICT搭載建設機械などの技術を身につけるのが大変 ・人材育成が追い付かない ・無線通信が不可だと対応できない ・システムダウンなど障害に対応できない |
ICTの機能を搭載した重機や機材など、導入費が高い傾向にあります。
しかし、施工前の測量などの調査時間は大幅に短縮可能です。
必要に応じ、現場にICTを導入しましょう。
まとめ
ICT施工は土木工事を効率よく行うメリットがあります。
しかし、費用が高額かつ無線通信ができない地域では導入できないデメリットもあるため気をつけましょう。
今後人材はますます不足する一方です。
施工前の測量や調査など人件費のかかる部分を削減し、施工効率を高めなくてはならない時期は訪れるでしょう。
現時点では認定資格はありません。
しかし、ドローンや3DのCAD等も使用する傾向にあります。
民間資格を取得し、効率よくICTの施工を進めてください。