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土木建築で使われるCAD

2023年03月28日

土木工事では、工事の概要打ち合わせから費用算出をするときにも工事の認可申請や実際の工事の際にも多くの設計図が使われます。
近年ではそれらの図面は土木CADを使って描かれるようになりました。

土木CADとは何か、どのように図面が描かれるのか、土木CADを使うメリットや土木CADを描く資格が必要かどうかについて紹介します。

土木建築で使われるCAD

土木CADってなに?

どんな会社でも今や多くの業務がコンピュータ上で処理されています。
製造や建築、そして土木の工程でも、設計図面はCADと呼ばれる製図ソフトによって描かれるようになりました。
CADとは、Computer Aided Design(コンピュータによって支援される設計)の頭文字を取った略称で現在では広く知られた名称です。

土木CADは、道路、橋梁、水道など公共の建造物や、土地造成や基礎工事などの設計図を作成します。
土木工事では地方団体や官公庁へ工事の概要を記した図面を提出しますが、専門用語や工事概要の規定に沿った図面が必要となることから専門の知識が不可欠です。

土木CADで描かれた図面は、ファイルの共有がしやすく施工主と設計者、設計者と現場などの打ち合わせに離れた場所からでもリアルタイムに認識できることや、コンピュータの画面で拡大縮小が任意にできるので、複雑な構造でも読み取りやすく認識の違いなど読み取りミスが少ない、複数の図面を持ち歩かなくて良いなど多くのメリットがあります。

土木CADはどうやって使う?

CADは一般的なコンピュータ上で動作するソフトウェアのことで、CAD専用のソフトウェアをパソコンやワークステーションなどのコンピュータにインストールして使います。
CADソフトウェアはたくさんのソフトウェアベンダ(販売会社)からリリースされていて、それぞれに特徴や価格差があり、また社内や他社とのデータの共有なども考慮して選定されるものです。

CADソフトはコンピュータの画面上に図面を描きますが、多くのソフトウェアがマウスの操作やペンタブレット(ペンタブ)を使い、線や図形または寸法など入力します。
基本の部分は2D(平面)で描きますが、描かれたデータを組み合わせて3D(立体的に見える図)画面を作成できるものが主流です。

コンピュータのディスプレイ上で図面を閲覧できるため、拡大縮小が任意にできる特性があり、大型のディスプレイや複数のディスプレイに設計図を表示させることで全体像を把握しながら詳細部分を描けるメリットがあります。

どんなソフトがあるの?

土木に限らず、建築や機械、電気設計などでも良く使われている「Auto CAD」が世界的にシェアが高く有名ですが、3Dの描画に強くて強度解析のシミュレーションができる「Solid Works」や、フリーソフト(無料ソフト)の「JW_CAD」も良く知られています。
その他にもいろいろな特徴を持ったCADソフトがいろいろなソフトウェアベンダ、メーカーから供給されています。

またiOSやAndroidを使ったスマートフォンやタブレットの画面上でも描画入力、閲覧が可能なアプリもいくつかリリースされていることが近年のトピックです。

参考: AutoCAD/Autodesk社
参考: Solid Works/ダッソーシステムズ社

資格は必要なの?

土木CADは上記したようにコンピュータ用のソフトウェアであり、操作するために特別な資格は必要ありません。

ご存じのように建築物の「設計」を行うには「建築士」の資格が必要です。
建築士は国家資格で、大学もしくは専門学校の指定された学科を履修し実務経験を経たのちに、木造建築士、二級建築士の受験資格が与えられます。
さらに実務経験を積んだうえで上位資格である一級建築士が存在します。

しかし土木設計では、「建築士」のような国家資格は存在しません。
一般的には土木設計を行う土木設計技術者という職種があり、その職に就くには高校や大学で土木工学を専攻し、土質力学、水力学、構造力学、コンクリート工学など土木設計に通じるカリキュラムを履修します。

また、設計技術者が下書きした図面をCADに入力するCADオペレータという職種があります。
それは建築、機械などすべてのCADに通じる職種ですが、こちらも特に資格は必要としません。

ここまで記してきたように土木CADを使うにあたり特別な資格は必要ありませんが、CAD利用技術の習熟度を認定する「CAD利用技術者試験」があり、合格した試験(級)によって自らの習熟度を客観的にアピールできます。

「CAD利用技術者試験」は一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催していて、試験には2次元CADと3次元CADそれぞれにスキルに応じた級分けがあり、基礎、2級など下位資格取得から順に上位への受験資格が得られます。
前項で紹介したAutodesk社では自社のCADソフト「AutoCAD」ユーザー向けのスキル認定試験を実施しています。

また、日本インストラクター技術協会が土木CADに特化した「土木CADインストラクター資格検定試験」を主宰しています。

参考:土木設計技術者/厚生労働省
参考:CAD利用技術者試験/一般社団法人コンピュータ教育振興協会
参考:土木CADインストラクター資格検定試験/日本インストラクター技術協会

土木CADオペレータになろう

ここまで述べてきたように建築、土木に関連した職業ではそれぞれに大学や専門学校などのカリキュラムを卒業した人が就きますが、土木CADオペレータはCADスキル以外は不要で、土木設計の知識は当然必要になりますが、それに関連した職業では比較的就きやすい職種です。

土木業界や土木CADに興味がある方はまずCAD利用技術者試験、土木CADインストラクター資格検定試験などの資格を取得して目指してみるのはいかがでしょうか?

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