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建築業界はオリンピック後どう変わった?実際の動きや今後の課題
2023年05月12日
「建築業界はオリンピックの影響を大きく受けているの?」
「業界全体に残る課題を教えてほしい!」
そう悩んでいる方も多いでしょう。
そこで今回は建築業界におけるオリンピック後の動向や、今後に向けての課題について解説します。
建築業界に従事している方は本記事をぜひ参考にしてください。
建築業界のオリンピック後の動向
まずは建築業界におけるオリンピック後の動向を解説します。
開催前後の動きが分かれば、建築業界の知識がさらに深まるはずです。
インフラ設備工事の増加
2019年度よりオリンピック開催に向けて、インフラ設備工事が積極的に行われてきました。
オリンピック開催中は一時中断したものの、引き続き公共工事は活発化されます。
バブル景気で建設された設備がちょうど40年前後となり、老朽化の時期をむかえるからです。
加えて築年数10~20年の設備に関しても、最新の技術を用いてメンテナンスする予定です。
インフラ設備工事は築年数に関わらず今後も行われるため、建築業界で働くチャンスは大いにあります。
大規模修繕工事の実施
今後はインフラ設備に限らず、大型マンションや集合住宅の大規模修繕工事が実施されます。
東京オリンピック開催の建築需要にあわせて、工事費用が高騰しました。
その時期を避け「オリンピック後に工事しよう」「施工は2021年以降に延期する」と申し出る団体が数多くあったのも事実です。
結果的に2022年から本腰を入れて工事がスタートされました。
近年工事費用は落ち着きを見せはじめたため、需要は一層高まると予想されています。
リニア新幹線交通工事の本格化
2027年にリニア新幹線の開通が発表されています。
東海道新幹線を使わず、品川駅から名古屋駅まで最速40分で行けるとあって注目を浴びているのです。
当然品川駅や名古屋駅周辺の都市開発は今後積極的に進められます。
加えて、品川~名古屋間の山梨・長野・岐阜といった駅の開発に向け、工事の需要は一層高まるでしょう。
このようにリニア新幹線交通工事はオリンピック後の工事における重要なポイントです。
耐震工事の実施
令和5年9月で関東大震災から100年をむかえます。
いまだ東日本大震災の余波が残る中で、次の大震災に向けておびえる日々が続いているのも事実です。
古くから建てられた施設や住居は耐震性に不安が残ります。
そのため、今後は耐震性に優れた建築物への建て替えが進められ、災害への対策が積極的に行われるでしょう。
建て替えでなくても、フレームの補強工事や壁の増強工事などの需要は高まると予想されています。
校舎改修工事の取り組み
小学校や中学校などの非住宅も、オリンピック後の建築に向けて大きなポイントです。
現在多くの校舎は1970年代に建てられています。
築年数は約50年と考えれば、老朽化は大きく進んでいるのが現状です。
日本は小学校や中学校が緊急避難地域に指定されるケースも多く、安全面には配慮しなければいけません。
今後は人々の命を守るため改修工事が積極的に行われます。
建築業界のオリンピック後の課題
続いては建築業界のオリンピック後の課題について解説します。
課題を知っておけば、次なる一歩も踏み出しやすくなるはずです。
業界全体の高齢化
建築業界は年を重ねるごとに高齢化が進んでいます。
高度経済成長期に就職した方達が、今でも現役で活躍しているのが現状です。
業界全体の年齢が上がると世代交代も進まず、危険かつ複雑な作業はリスクが大きく伴います。
現在は売り手市場であり、希望した会社に入りやすいのも事実です。
これからはいかに若い人材を取り込むかが大きなポイントとなるでしょう。
労働環境の悪化
建築業界は3K(きつい・きたない・きけん)と呼ばれています。
以前よりも労働環境は改善されているものの、依然として就業環境が劣悪な職場もあるのです。
このままでは若い世代を雇用できず高齢化が改善されません。
在宅ワークやテレワークの普及によって、パソコン一つでできる仕事に注目が集まっているのも事実です。
建築業界は若年層の心に刺さる労働メリットをアピールする必要があります。
根強く残るアナログ業務
建築業界はいまだにアナログ業務が根強く残っています。
計画書が手書きだったり、申請書を対面で直接提出しなければいけなかったり。
業務が非効率であるのは言うまでもなく、若い世代は働きづらさも感じてしまうでしょう。
現在は「建築DX」と呼ばれる言葉も登場し、ようやくデジタル技術を取り入れる動きが強まっています。
まとめ
東京オリンピック後の建築業界は好景気に向かうと予想されています。
インフラ工事設備の増加や大規模修繕工事の実施が見込まれるのも事実です。
とはいえ高齢化や労働環境の悪化を改善しなければ、業界全体が活況していきません。
建築業界活性化に向けて、今後の動きが注目されます。