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建築設備士はどんな職業?国家資格が必要?建築設備士の概要を解説

2023年06月22日

皆さんは、建築設備士という仕事を知っていますか?
建築設備士は、国家資格を有する職業で建築士と並んで建築物の重要な分野を担っています。
また、建築物の高層化や高機能化が進む中、今後需要が増えていくと予想されています。
そこで今回は、建築設備士の概要から試験内容までを紹介していきます。

建築設備士はどんな職業?国家資格が必要?建築設備士の概要を解説

 

建築設備士とはどんな職業?需要はあるの?

建築設備士という資格はあまり聞きなじみがないかもしれません。
しかし、建築物の複雑化・高度化に伴い需要が高まりつつある資格の1つが建築設備士です。
そこで本項では、建築設備士の役割や今後の需要について紹介していきます。

建築設備士とはどんな職業?

建設設備士は国土交通省によって認可される国家資格で、建築士の依頼に基づき建設設備の設計や工事管理に対して助言を行うことができます。
建築設備とは、建築物の安全性や機能性・快適性を高めるための設備全般を指し、空調・水・電気・ガスなどの代表的なインフラシステムから防火設備などの安全システムさらには、エレベーターなどの輸送設備や電話やインターフォンなどの音響設備に至るまで多岐に渡ります。

建設設備士は上記のような設備関連の知識を幅広く要求されるため、建物内部の安全性や快適性を陰から支えている存在と言えるでしょう。
また、建築士が建築設備士に助言を受けた場合、設計図書や工事管理報告書にその旨を明記しなければならないとされています。

建築設備士の需要は?

前項で述べた通り、建築設備士は建築物内部の設備全般が守備範囲となります。
そのため、建築物の高層化や機能性の充実が求められる昨今では、より建築設備士の需要が増えると予想されます。
また、「公益財団法人建築技術教育普及センター」の統計によると建築設備士合格者の勤務先が以下のように発表されています。

①建設会社:23.4%
②電力、ガス、不動産など:18.4%
③空調・衛生設備工事会社:14.3%
④設備設計事務所:13.2%
⑤建築設計事務所:13.2%

このように、建築設備士は建築物やその設備、そしてインフラ関連など幅広い需要があることがわかります。

建築設備士はどうやって受験できる?

前項では、建築設備士の概要と需要について紹介しました。
それでは具体的にどのように資格を取れば良いのでしょうか?
本項では、建築設備士取得の流れから試験内容までを紹介します。

建築設備士取得までの流れは?

建築設備士の試験は、「公益財団法人建築技術教育普及センター」にて実施されており以下の4つのフローで行われます。

①建築技術教育普及センターへの受付

建築技術教育普及センターは受付を受領し、受験資格審査に入ります。
そして、受験資格を満たした者が1次試験の受験資格を獲得できるシステムです。

②1次試験

1次試験はマークシート形式で実施され、建築に関する一般知識や法規などが問われます。

③2次試験

2次試験では、記述式及び製図作成の試験が行われます。

④建築設備士登録

2次試験合格後、「一般社団法人建築設備技術者協会」に登録することで建築設備士として業務を行うことができます。

建築設備士の受験資格は?

建築設備士の受験資格は以下の4ケース10パターンで定められています。

Aケース:学歴+実務経験

このケースでは、「一般社団法人建築設備技術者協会」の定める課程を修了し、一定期間の実務を経験した者が受験資格を満たします。

①:大学卒業+実務経験2年以上
②:短期大学・高等専門学校卒業+実務経験4年以上
③:高等学校卒業+実務経験6年以上
④:専修学校卒業+実務経験2~6年以上
専修学校は専門課程を修了していることや修業年限・単位数で3パターンに分けられています。
④-1:専修学校(専門課程:修業年限4年以上かつ120単位以上)+ 実務経験2年以上
④-2:④-1以外の専修学校(専門課程:修業年限2年以上かつ60単位以上)+ 実務経験4年以上
④-3:④-1、2以外専修学校 + 実務経験6年以上
⑤:以下の大学校卒業+実務経験2年以上
・職業能力開発総合大学校または職業能力開発大学校(総合、応用、長期課程の場合)
・職業訓練大学校(長期指導員訓練、長期課程の場合)
⑥:以下の大学校卒業+実務経験4年以上
・職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業訓練短期大学校(特定専門、専門課程)
・職業訓練短期大学校(特別高等訓練、専門訓練、専門課程)
⑦:高等学校卒業後に以下の学校卒業+実務経験6年以上
・職業能力開発校
・職業能力開発促進センター
・障害者職業能力開発校
・職業訓練施設

Bケース:資格+実務経験

⑧:以下の資格を取得+実務経験2年以上(資格取得前後は問わず通算年数で判断)
・一級建築士
・1級電気工事施工管理技士
・1級管工事施工管理技士
・空気調和、衛生工学会設備士
・第1種、第2種、第3種電気主任技術者

Cケース:実務経験のみ

⑨:実務経験9年以上

Dケース:①~⑨の同等以上の知識及び技能を有すると認められる者

このように建築設備士の試験資格は、学歴と実務経験の両方が考慮されるより実質的な条件と言えるでしょう。

建築設備士の試験内容および合格率は?

以下に建築設備士の試験内容を示します。

①第一次試験

【試験方法】
マークシート方式

【出題内容】
建築一般知識・建築法規:2時間30分
建築設備:3時間30分
なお、建築法令集の持ち込みが可能なことが特徴です。

【合格率】
31.4%(2022年度)

②第二次試験

【試験方法】
記述方式及び製図作成

【出題範囲】
建築条件から建築設備基本計画を説明する記述問題と建築設備基本設計製図
(試験時間:5時間30分)

【合格率】
46.4%(2022年度)

また、2022年の第一次及び第二次の合計の合格率は16.2%と簡単に取得できる資格ではないことがわかります。

建築設備士登録ってなに?

建築設備士登録は、建築士法に基づき「一般社団法人建築設備技術者協会」にて行われます。
登録内容は、氏名・生年月日・住所・登録番号などがあり、「建築設備士登録簿」に記録されます。
また、建築設備士登録簿に登録することで「建築設備士登録証」が交付され、建築設備士として活動することができます。

建築設備士はどんな職業?国家資格が必要?建築設備士の概要を解説 まとめ

今回は、建築設備士の概要から試験内容までを紹介しました。
建築設備士の業務範囲は多岐にわたりますが、重要な職業だとわかりましたね。
この記事を読んで、建築設備士に興味を持っていただけたら幸いです。

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