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電磁ポンプの仕組みをわかりやすく解説!種類も紹介
2022年12月16日
「電磁ポンプを扱わなければいけないけれどよくわからない」
とお困りの方は多いのではないでしょうか。
電磁ポンプなどの専門的な知識が必要な機械を初心者が扱うのはとても大変です。
まずは電磁ポンプの基礎知識を身につけましょう。
本記事では、電磁ポンプの基礎知識として、電磁ポンプとは何か、電磁ポンプの仕組みについて紹介します。
これから初めて電磁ポンプを扱う方は、本記事を参考にしてくだされば幸いです。
電磁ポンプとは?
電磁ポンプとは、エンジンやモーターを使わないポンプです。
容積ポンプと呼ばれる種類となります。
原子炉など漏れると危険な場所や、腐食性の強い液体を循環させるために使われるポンプです。
身近なところでは、石油給湯器(ボイラ)、石油ヒーター、石油バーナー、トイレ、コーヒーディスペンサー、医療用洗浄機、燃料電池などに用いられています。
電磁ポンプの仕組み・原理とは?
電磁ポンプはモーターやエンジンを使いません。
では、どのようにエネルギー(運動エネルギー・動力)を生み出すのでしょうか。
鉄などのまわりにコイルを巻き、電流を流します。
そうすると磁力が発生するのです。
この磁力をエネルギーとして使うタイプのポンプとなります。
理科の授業などで電磁石の実験を行なった経験のある方は多いのではないでしょうか。
その電磁石を利用したポンプが電磁ポンプとなります。
電磁ポンプの種類
電磁ポンプにはいくつかの種類があります。
主なものは「可変容積形タイプ」と「定容積形タイプ」の2種類です。
可変容積形タイプはさらに「圧力タイプ」と「流量タイプ」に分けられます。
それでは、詳しくみていきましょう。
可変容積形タイプ
「可変容積形タイプ」とは、容積を変動させられるタイプの電磁ポンプです。
斜板・斜軸形プランジャポンプや可変容量ベーンポンプなどの種類があります。
可変容積形タイプ「流量タイプ」の特徴は以下の通りです。
● 液体の移送、低圧の容器などへの供給を行う
● 水や薬液などの移送に使われる
可変容積形タイプ「圧力タイプ」の特徴は以下の通りです。
● 加圧した液体をノズルから噴霧するのが目的のポンプ
● 水や灯油、軽油を圧送する場合や圧をかけて流体を送る用途で使われる
このようにタイプによって、ポンプの機能や目的が異なります。
用途にあったポンプを選ぶ必要があるのがおわかりになるでしょう。
定容積形タイプ
「定容積形タイプ」とは、圧力の変化があっても一定量を吐き出せるタイプの電磁ポンプです。
定容積形タイプの特徴は以下の通りです。
● 流体の吐出し量が安定しており一定量を吐き出せる
● 温度変化や振動、電源電圧の影響を受けにくい
● 流体を高精度で移送するために使われる
● 化学反応を利用した機器にも使える
つまり、定容量形タイプは、流体を一定量で吐き出せる点がメリットとなります。
温度変化や振動、電源電圧の影響を受けにくいため、再現性、安定性の高い電磁ポンプです。
定容積形ポンプの分類を以下の表に示しました。
定容積形ポンプ | 往復形 | ピストンポンプ |
ブランジャポンプ | ||
ダイヤフラムポンプ | ||
回転形 | 歯車ポンプ | |
ベーンポンプ | ||
スクリュウポンプ |
定容積形ポンプは「往復形」と「回転形」に分けられており、さらに細かい分類があるのです。
電磁ポンプの仕組みを解説!ダイヤフラムポンプを例に説明
それでは、電磁ポンプの仕組みについて、ダイヤフラムポンプを例に説明します。
ダイヤフラムポンプは、定容積形ポンプの往復形です。
往復形とは、「ピストン運動のように往復運動を行うポンプ」であるのを意味します。
今回は、電磁駆動を用いたダイヤフラムポンプの仕組みについて解説します。
電磁ポンプの仕組みがよくわからない方は、ぜひお読みください。
ダイヤフラムポンプとは?
ダイヤフラム(diaphragm)とは、横隔膜を意味します。
人間の体が横隔膜を上下させて呼吸をするように、ダイヤフラムポンプはダイヤフラムの膜を往復させる動きで流体を移送するのです。
ダイヤフラムの素材は、ゴム、金属、樹脂などさまざまなものが使われています。
さらにダイヤフラムを動かすエネルギーを生み出す駆動源の種類もさまざまです。
今回は電磁ポンプについて解説します。
電磁式ダイヤフラムポンプを動かす仕組み
電磁式ダイヤフラムポンプを動かす仕組みについて解説します。
大きく分けて4つの段階があります。
1. 吸気
2. 圧縮
3. 吐出
4. 膨張
それぞれについて、みていきましょう。
1. 吸気
電磁石に電流を流すと磁気が発生します。
そして永久磁石が電磁石に吸着・反発し、ダイヤフラムが内部の方向にへこんで吸気弁が開き、空気が内部に入ってきます。
2. 圧縮
電磁石のS極とN極が入れ替わります。
交流が起こるためです。
再び永久磁石と電磁石が吸着・反発し、ダイヤフラムは真ん中の元の位置に戻り、吸い込まれた空気が圧縮されるのです。
3. 吐出
永久磁石と電磁石が吸着・反発し、今度は吐き出し弁が開きます。
ダイヤフラムは外側に膨らむような形に変形し、内部の圧縮された空気が外に吐き出されます。
4. 膨張
また再び永久磁石と電磁石が逆方向に吸着・反発し、内部の空気が膨張し始めます。
これら一連の動きにより、エネルギーを生み出していくわけです。
電磁石のS極とN極が入れ替わるたびに、ダイヤフラムの膜が動き、空気を吸い込み、吐き出す動きを繰り返し、最終的には内部の空気を膨張させる流れとなります。
まとめ
「電磁ポンプを扱わなければいけないけれどよくわからない」とお困りの方に向けて、電磁ポンプの基礎知識、電磁ポンプの仕組み、種類について紹介しました。
電磁ポンプは、上手に使えばとても便利な機械です。
初めて電磁ポンプを扱う方でも理解できるようになるべく専門用語を使わずに解説しましたので、初心者の方は本記事を参考にしてくだされば幸いです。